原発ゼロ」の日本へ


東日本大震災 救援・復興に全力を!


12月2日の緊急意見書・自由法曹団(公開遅れてごめんなさい)

12月2日のメールニュース(原発原告団関連の)できていたのに今 
安倍さんは、十分審議は尽した、と言ってるけど、超短い  
石破さんの発言に対しても書いちゃあてやき、ちょっと長いばって、読んで 
参議院と私たち外の運動に未来がかかっとうばい 
             廃案に!


緊急意見書

 参議院での 秘密保護法案廃案を求める
         「修正案」は修正の名に値しない
   2013年12月 2日
                   自由法曹団
      はじめに ― 衆院強行採決と参議院での審議
      第1 衆議院の法案審議 - 40時間余の審議はどんなものだった
    か
        1 審議の経過       2 審議をめぐる問題
        3 参考人と公聴会
      第2 「修正案」の構造と問題点 - 「修正」はなにを生み出したか
        1 「修正案」の内容と性格 2 「修正案」が投げかける問題
        3 「修正案」と衆院審議
      第3 秘密保護法案の検討・解明 - 問題点は解明されたか
        1 構造と本質的問題    2 未解明の問題、論議されていない問題
        3 治癒不可能な欠陥法
      おわりに ― 秘密保護法案は廃案しかない
 
はじめに ―― 衆院強行採決と参議院での審議

 2013年11月26日、自民党・公明党・みんなの党の三党は、衆議院国家安全保障に関する特別委員会(安保特別委員会)と本会議で、特定秘密の保護に関する法律(秘密保護法)「修正案」の採決を強行した。
 11月4日の審議入りからわずか3週間、国民的な反対にもかかわらず、数の力で平和と人権をおびやかす法案の採決を強行した暴挙である。「修正案」を共同提出した維新の会が退席し、自民党やみんなの党からも造反者が出るなかでの異様な強行でもあった。
 強行採決から1週間、暴挙を糾弾し、廃案を求める声はさらに拡大し、首都東京においても、全国各地の津々浦々でも、連日のように法案反対の行動が展開されている。11月28日、「修正案」に賛成する会派も含めて、野党7会派が一致して「NSC(安保)特別委員会では特定秘密保護法案について徹底した審議を行う」との合意を行ったのは、廃案や慎重審議を求める圧倒的な国民の声を受けてのものである。
 全国2000名の弁護士で構成する自由法曹団は、第1意見書「徹底解明 秘密保護法案」(11月5日付)と第2意見書「秘密保護法/日本版NSC 山積する問題」(11月19日付)を発表し、法案の構造や問題点、法文の解釈と運用、発生する事態などを解明した。参議院の審議が開始された11月28日には、要望書「法案慎重審議、自由法曹団意見書の活用を」を発表して、「修正案」が投げかける問題などを指摘した。参議院の審議は緒についたばかりであり、意見書や要望書で指摘した問題点は、なにひとつ解決されてはいない。
 にもかかわらず、政府・与党は「12月6日までに法案成立」と叫び、石破茂自民党幹事長は、反対を叫ぶのは「テロ行為とその本質においてあまり変わらない」とブログで公言するに至っている。これでは、国民の声を「テロ」として排斥し、強行採決を繰り返すと宣言しているのと同じである。
 こんな低レベルの煽りにのって、人権と民主主義を無視した暴挙を繰り返せば、政府の無能と議会の劣化を満天下に示すことにしかならない。かかる事態を許さないため、衆院審議と「修正案」を検討し、参議院が果たすべき課題を明らかにする。

第1 衆議院の法案審議 - 40時間余の審議はどんなものだったか
 1 審議の経過……審議入りから強行採決まで
 11月26日の安保特別委員会「締めくくり総括質疑」で、安倍晋三首相は、「もう既に40時間の審議がされており、他の法案に比べてはるかに慎重な熟議がされている」と強弁した(近藤昭一議員への答弁 問答は略記。以下、同)。
 その「熟議」とはどんなものだったか。
 委員会審議の概略は以下のとおりである(いずれも11月)。
 7日=7分(趣旨説明)、8日=3時間(一般質疑)、11日=4時間(同)
 12日=4時間(同)、13日=3.5時間(参考人)、14日=7時間(一般質疑)
 15日=7時間(同)、19日=6時間(うち参考人3.5時間、余は一般質疑)
 20日=3.5時間(一般質疑)、21日=3時間(同)
 25日=3時間13分(うち福島地方公聴会3時間、「修正案」趣旨説明13分)
 26日=2.5時間(締めくくり総括質疑・強行採決)
 この時間を合計すれば、確かに47時間近くにはなる。
 その47時間は、秘密保護法案の問題点を解明するに足るものだっただろうか。
 2 審議をめぐる問題……問題を解明できる審議だったか
 審議そのものにかかわる問題点を列挙する。
 (1) 審議の時間
 47時間は決して十分な審議時間ではない。
 これまでも自由法曹団は、平和や人権にかかわる重要法案について検討・解明を行い、意見書発表を行ってきた。重要法案はいずれも衆議院特別委員会で審議されたが、審議時間は以下のものであった(衆院事務局調べ。朝日デジタル11月27日付)。
 政治改革法案(93年)=93時間 有事三法案(02年)=92時間
 改憲手続法案(05年)=58時間 教育基本法「改正」案(06年)=106時間
 これらの法案審議に比して、「47時間での強行採決」は、「はるかに拙速」ではあっても、「はるかに慎重」などと言えたものではないのである。
 (2) 審議の対象
 その47時間は、秘密保護法案だけの審議にあてられたわけではない。
 11月7日には、民主党提出の「情報公開法改正案」も同時に付託され、11月20日には民主党が対案として提出した「特別安全保障秘密の適正な管理に関する法律案」(適正管理法案)など5法案も付託された。委員会では、これら民主党法案についての質疑も行われており、秘密保護法案に質疑が集中したわけではない。
 また、参考人質疑が7時間、地方公聴会が3時間だから、一般質疑は36時間にすぎず、秘密保護法案の究明にあてられた時間は、さらに少ないことになる。
 この程度の時間で、複雑怪奇な法文で構成され、構造的な問題をはらむ法案の問題点を解明することなど、できるはずがないのである。
 (3) 集中審議がもたらしたもの
 11月7日から26日まで、ほとんど連日の集中審議が続けられた。
 「この国の秘密がいままさに盗まれようとしている」だの、「X国との軍事緊張が高まって一触即発の危機にある」だのの事態でないことは、政府も認めている。にもかかわらず、「臨時国会で成立」という政府・与党の「面子」だけのために、集中審議が続けられたと言っていい。
 無理な集中審議でなにがもたらされたか。
 * 連日の御精励、また丁寧な御答弁、深遠なる敬意を表するものであります。連日の御登板で、大臣も大分お疲れではないでしょうか。大丈夫でございますか(11月15日 寺田稔議員)
 * 森大臣も、いろいろ御答弁については、ぶれがあるとかやゆされていますけれども、しかし、誠実に御答弁なさっているというふうに私は思っています(11月20日 長島昭久議員)。
 これでは無理な集中審議によって生み出された混乱や錯綜を、いたわりあっていることにしかならない。
 ことは平和と人権にかかわる法案審議であり、「精励」や「誠実」ですませていい問題ではない。国会は国権の最高機関であって、「ディベート同好会」ではないのである。
 3 参考人質疑と地方公聴会……なにが語られ、なにが訴えられたか
 2度にわたって行われた参考人質疑や、原発事故被害で苦しむ福島県で行われた公聴会は、国会が法案への意見を聞く貴重な機会であった。
 その参考人質疑や地方公聴会で、なにが語られたか。
 (1) 参考人質疑
 11月13日の参考人質疑では、長谷部恭男、田島泰彦、春名幹雄、永野秀雄の各氏が参考人陳述を行った。
 「秘密保全のための法制の在り方についての有識者会議」(11年8月8日に報告書を発表)のメンバーだった憲法学の長谷部氏は法案を全面的に擁護する立場で陳述したが、他の3名の参考人はいずれも反対・慎重の立場だった。憲法・メディア法の田島氏は憲法の基本原則との関係で法案の問題点を指摘し、ジャーナリストの春名氏は報道の自由や国会の関与、将来の公開を主張した。秘密保護法制を必要とする永野氏からも、チェック機関の創設や国会におけるチェックが示唆されている。
 11月19日に行われた参考人質疑では、青山繁晴、三木由紀子、西村幸祐、前田雅英の各氏が参考人陳述を行った。
 13日とはうってかわって、情報公開NGOの三木氏が反対の立場から陳述したのをのぞき、法案積極推進の立場からの陳述が繰り返された。
 刑法学の前田氏は、国際標準となっている「ツワネ原則」を「秘密保護法制は当然で、大量虐殺をして国家が握りつぶしちゃいけないことに主眼のある議論」と言い捨てた。
 シンクタンク理事長の青山氏は「福島原子力事故の被害のひとつはテロリストに情報を与えたこと」とし、ジャーナリストの西村氏は「1985年にスパイ防止法ができていたら拉致事件の進行はかなり防ぐことができた」とした。これでは、「原発事故は特定秘密にして報道するな。在日外国人にはすべて監視をつけろ」と言っているに等しい。
 これら「ヘイトスピーチ」ばりの推進論を含めても、参考人の多数が秘密保護法の積極推進にはなっていないのである。
 
(2) 福島・地方公聴会
 市民が秘密保護法案について発言する唯一の機会が、11月25日に福島市で行われた地方公聴会であった。この公聴会で、与党推薦を含む7名の陳述者は、例外なく、法案への反対・批判を表明した。
 発言要旨は以下のとおりである(引用は11月26付朝日デジタルによる)。
 * 馬場有・浪江町長(自民推薦)
   SPEEDIの情報が適切に公開されず、町民の避難に生かせなかった。法案は(秘密の)範囲が非常に広くて明確ではない。
 * 畠中信義・いわき短大特任教授(公明推薦)
   国民は、情報が公開されて初めて、知識を得て判断することができる。国民が知らずに秘匿されれば、公益を図れない。
 * 槇裕康・福島県弁護士会副会長(民主推薦)
   何を秘密にするかわからない仕組みで、秘密は拡大の一途をたどる。修正協議でも問題点は解消されたとはいえない。
 * 二瓶由美子・桜の聖母短大教授(民主推薦)
   パブリックコメントは反対多数。法案はストップをかけてほしい。民主主義を揺るがす手続きで、もう一度考えてほしい。
 * 名嘉幸照・東北エンタープライズ会長(維新推薦)
   原発労働者は安全性について、家族にも話せない。原子力の安全神話を生み、取り返しのつかない事故につながった。
 * 荒木貢・弁護士(共産推薦)
   国民は何が秘密に指定されているか知らず、厳罰に処せられる。処罰されるのではという恐怖心は萎縮効果をもたらす。
 * 佐藤和良・いわき市議(生活推薦)
   原発の情報が特定秘密として秘匿され、市民の安全の情報が非公開になると、国民の基本的人権を侵害する結果を生む。
 真実が秘匿された「安全神話」のなかで暮らし、深刻な被害を受けた福島の市民が表明したのは、イデオロギーを超え、党派を超えての法案反対であった。
 だが、その声が届くことはなかった。
 地方公聴会から帰京した安保特別委員会は、その夜のうちに「4党修正案」の趣旨説明を強行し、翌26日には「締めくくり総括質疑」と法案採決を強行したのである。

第2 「修正案」の構造と問題点 - 「修正」はなにを生み出したか

 1 「修正案」の内容と性格
 (1) 12項目の「4党共同修正」
 11月25日、自民党・公明党・みんなの党・維新の会の「4党修正案」が提出され、その夜の安保特別委員会で趣旨説明が行われた。
 法文に沿って「修正」点を抽出すると以下のようになる(法文番号は「修正」後)。
 a 「安全保障」を説明する形容句を挿入する(1条)。
 b 指定する行政機関に、政令による限定を認める(3条)。
 c 指定の有効期間の上限を原則60年とし、「永久秘密」も認める(4条4項)。
 d 30年以上延長の承認が得られない場合の、国立公文書館等への移管(4条6項)。
 e 国会、捜査機関、裁判所等への特定秘密の提供の義務化(10条1項本文)。
 f 指定・解除・適性評価の実施の状況につき、内閣総理大臣の行政各部に対する指揮監督権。特定秘密を含む資料の提出・説明要求、改善指示権(18条4項)。
 g 指定・解除・適性評価の実施の状況につき国会への報告と公表(19条)。
 h 「管理を害する行為による取得罪」の「目的犯」化(24条)。
 ⅰ 施行後5年間で指定がない行政機関を政令で除外(附則5条)
 j 「公正な立場で検証・監察できる新たな機関」の設置等の、必要な方策の検討と必要な措置(附則9条)。
 k 国会が提供を受けた特定秘密の保護に関する方策を、国会で検討(附則10条)。
 l 「その他の情報」を「国民の生命及び身体の保護に関する重要な情報」に置き換え(別表二、三、四)。
 (2) 骨格にメスを入れない改悪案
 一見して明らかなとおり、目的、行政機関、指定、指定期間、内閣総理大臣の役割、第三者機関、国会の関与、処罰の範囲、別表(特定秘密の範囲)という広範な問題にわたる「修正」ではある。
 だが、この「修正」は、法案の骨格にメスを入れるものには、まったくなっていない。
 それどころか、「修正案」は、
 ① 30年が最長だった期間を事実上60年に延長して「永久秘密」まで認め、
 ② 「内閣総理大臣=第三者機関」説によって、権限も責任も不明確なままで内閣総理大臣の関与を認めて「秘密の暗闇」をいっそう拡大し、
 ③ 重要な(はずの)第三者機関等の問題を、附則で先送りして実現を遠ざけ、
 ④ もともと複雑怪奇な法案を、こねくりまわしてますますわかりにくい奇妙奇天烈なものにする
ものである。「修正」ではなく、改悪と言わざるを得ない。
 2 「修正案」が投げかける問題
 構造的な問題をはらんだ法案をこねくりまわした「修正案」は、新たな問題を投げかけるものになっている。
 論点と法文ごとに、箇条書き的に列挙する。
 (1) 目的・安全保障(1条)
 「修正案」では、「安全保障」に「国の存立に関わる外部からの侵略等に対して国家及び国民の安全を保障することを言う」との「カッコ書き」がつけられることになる。経済面での安全保障(エネルギーや食糧等)を除外するためとも、読めないではない。
 ところが、委員会では、「安全保障」とはもともと上記の意味とされたうえで、「エネルギーや食料に関する事項については、例えば何らかの理由で我が国全体として極端な欠乏に陥り、国としての基本的秩序の平穏を害するに至るような場合には、法案の安全保障に含まれ得る」と答弁されている(11月14日 丸山穂高議員への答弁)。
 「カッコ書き」をつけたことによって、安全保障を限定したことにはならず、TPPなどの経済交渉にかかわる情報も、依然として特定秘密になり得るのである。
 (2) 行政官庁と指定(2条、3条)
 2条で定義される「行政機関」の長が、3条によって「指定権」を付与されるというのが基本の構造である。この「行政機関」の範囲が広すぎ、「長」の権限が大きすぎるというのが各方面からの批判であった。それを意識してか、「修正案」ではなんとも珍妙な「限定らしきもの」が加えられた。以下の2つである。
 a 附則による2条の制限
 「施行から5年を経過した以後の2条の規定の適用」につき、施行から5年間、「特定秘密を保有したことがない機関として政令で定める機関」を除外。
 b 3条但書による制限
 内閣総理大臣が有識者の意見を聴いて、「政令で定める行政機関の長」を除外。
 aは「5年間指定しないとはずす」というものだが、5年が近づけば「未指定行政機関」で「秘密にできるもの探し」がはじまるに違いない。「危機に瀕する森林資源を保持するための基本戦略」(林野庁)、「××諸島周辺の気象の変化を示すデータ」(気象庁)、「○○博物館にある■■国から持ってきた文化財の取得経緯」(文化庁)などなど。
 これでは、高級官僚の「競争心」を刺激して、「無駄な特定秘密」を量産しようとしていることにしかならない。
 こうなるから、附則によって2条から除外できない行政機関(a)であっても、3条但書の政令で除外して指定ができないようにする(b)というのだろうか。
(3) 提供の義務づけ(10条1項本文)
 特定秘密の提供を規定した10条1項本文の末尾が、「提供することができる」から「提供するものとする」に変更された。
 国会等への提供を任意規定ではなく、義務規定にしたものであるが、提供の要件の「我が国の安全保障に著しい支障を及ぼすおそれがないと認めたとき」は残っている。この「おそれ」があるかどうかの判断は行政機関によって行われるから、行政機関の判断が優先される構造はなにひとつ変わらない。
 この程度の「修正」で「国会が尊重された」と考えるなら、それこそ「国会と議員がもつ使命感の水準」が知れることになるだろう。
(4) 内閣総理大臣の関与(18条4項)
 特定秘密の指定や提供は、行政機関の長の自己完結的な権限とされており、内閣総理大臣の承認も内閣への報告も必要ない。「なにが秘密かは、内閣にも内閣総理大臣にも秘密」というわけである。
 「縦割り分権性」の強い指定や提供が生み出す事態は、自由法曹団第2意見書Q2でシミュレートした。非戦平和を求める自由法曹団が言うべきことではないが、「自衛隊の『最高の指揮監督権』を持つ内閣総理大臣に、軍機を漏らすと漏えい罪になるような軍事法で、戦争ができるのか」というのも、率直な疑問である。
 それあってか、指定のチェックや内閣総理大臣の権限をめぐってさまざまな論議が行われ、「第三者機関性をもつ内閣総理大臣によるチェック」なる「修正案」に行き着いた。
 「内閣総理大臣は、指定、解除、適性評価の実施の状況に関し、その適正を確保するため、内閣を代表して行政各部を指揮監督するものとする・・」がその法文である。
 内閣総理大臣は、「内閣を代表して・・行政各部を指揮監督する」権限と責任を、憲法によって付与されているから(72条)、「秘密保護法18条4項の内閣総理大臣」は、「憲法上の内閣総理大臣」とは異なると考えるしかない。また、自ら「行政機関の長」として特定秘密を指定する「内閣官房の長としての内閣総理大臣」とも、自衛隊の最高の指揮監督権を持つ「最高軍司令官としての内閣総理大臣」とも、違うはずである。
 では、秘密の保持や秘密保護法を含む軍事法の発動において、この「4人の内閣総理大臣」は、それぞれそのような権限と責任を持ち、その権限と責任は、相互にどのように関係するのか。法律専門家の団体として、「修正案」提案者に明確な説明を求めたい。
 国家のありようをめぐって、このような「使い分け」をしなければならないこと自体、「修正案」の欠陥の深さを示している。
(5) 三つの「第三者」(18条、附則9条)
 法案では、「我が国の安全保障に関する情報の保護、行政機関の保有する情報の公開、公文書等の管理等に関し優れた識見を有する者」(有識者)が、「第三者」として、政府による運用基準の設定や変更に意見を述べることになっていた(18条2項)。
 「修正案」は、この有識者は残したうえで、「第三者機関性をもつ内閣総理大臣」(18条3項)を追加し、さらに「公正な立場において検証し、及び監察することのできる新たな機関」(附則9条)を検討し、必要に応じて設置することにした(附則9条)。安倍首相はこの「新たな機関」を、「設置すべきだというふうに考えている」と答弁し(11月26日 山田宏議員への答弁)、磯崎陽輔首相補佐官は「つくる。約束する」と明言した(11月30日 テレビ朝日)。
 では、この「検証・監察機関」の法的性格や権限・責任はどの法令・法文に規定されるのか、「検証・監察機関」と、当初からの「有識者」、18条4項の「第三者機関性を持つ内閣総理大臣」はどのような関係に立つのか。
 なにひとつ問題は解決していないのである。
(6) 取得罪の「目的犯」化(24条)
 「管理を害する行為による取得」罪が、「外国の利益若しくは自己の不正の利益を図り、または我が国の安全若しくは国民の生命若しくは身体を害すべき用途に供する目的」という目的犯に変更された。
 「スパイ摘発」という政治的目的を取り込むのがねらいと考えられるが、「自己の不正の利益」「我が国の安全を害すべき用途」はどのようにでも解釈できる余地があるから、構成要件を限定する機能を果たすとは限らない。
 また、漏えい罪や共謀・教唆・扇動罪(25条 旧24条)にこの目的は不要だから、「取得罪の嫌疑」ではなく「漏えい教唆罪の嫌疑」での摘発は制約を受けない。事前抑止法・弾圧法という構造そのものはまったく変わらないのである。
 さらに、
 ① 「目的犯」化された24条と、「専ら公益を図る目的」による行為を「正当な業務による行為」とする22条は、どのような適用関係に立つか。
 ② 「目的犯」化は、原案を前提に行われた「特定秘密を保有する者の管理を害する行為」の解釈運用をめぐる答弁に影響するのか。
など、刑罰法規としての秘密保護法案をめぐって解明されねばならない問題も、多々介在している。
(7) 情報の「置き換え」(別表)
 特定秘密に指定できる情報の範囲を示す別表には、以下のとおり、随所に「その他の重要な情報」が散りばめられていた。
 a 防衛に関し収集した電波情報、画像情報その他重要な情報(一、ロ)
 b 安全保障に関し収集した条約その他の国際約束に基づき保護することが必要な情報その他の重要な情報(二、ハ)
 c 特定有害活動の防止に関し収集した外国の政府又は国際機関からの情報その他の重要な情報(三、ロ)
 d テロリズムの防止に関し収集した外国の政府又は国際機関からの情報その他の重要な情報(四、ロ)
 これでは、行政機関が収集した情報は「重要な情報」と言いさえすれば、どんなものでも特定秘密にできることになる。
 この点を考慮してか、「修正案」では、上記bcdの「その他の重要な情報」を、「国民の生命及び身体の保護に関する重要な情報」に置き換えた。
 だが、安全保障とは「・・国家及び国民の安全を保障すること」(1条の「修正」)というのだから、「国民の生命及び身体の保護」とまったく関係のない情報が、含まれるわけはない。この「置き換え」で、どんな情報が除外されるというのだろうか。
 仮に、「国民の安全とかかわりをもたない国家の安全にかかわる情報」が除外されたとしても、その情報のほとんどは「防衛」に関する「その他の重要な情報」(一、ロ)で拾われるに違いない。「非対称の戦争」の横行で治安と軍事の境界線は溶融しており、「テロ対策」を「ゲリラ対策」に言い換えさえすれば、軍事・防衛の世界に簡単に移行できるのである。
 3 「修正案」と衆院審議
 (1) 密室の「修正」協議
 これまで、「修正案」の内容・性格と投げかける問題について、検討を加えてきた。
 秘密保護法案の骨格にはまったくメスを入れないまま、批判を受けた問題点をめぐって、複雑怪奇な法文操作をおこなったものが「修正案」である。その結果、法案は、骨格こそ変わっていないものの、外形はおおきく変容している。
 重大なことは、その法文操作による「修正」作業が、与党とみんなの党、維新の会の密室協議で行われ、「修正案」として浮上したのは強行採決の前夜だったことである。
 その結果、それぞれの「修正」が、どのような論議にもとづいて、なにを目的に行われ、それぞれの「修正」条文がどのように解釈・運用されるかは、協議に加わっていない野党に明らかにされておらず、もとより国民には明らかになっていない。
 驚いたことに、密室協議にあたった議員からは、「もう20時間近く相当かんかんがくがく、お互いやり合って、一つの修正案ができ上がりました。それぞれ御努力があったということに、まず敬意を表したい」との「自己讃美」が吐露されている(11月26日 山田宏議員)。
 国会議員の使命は、主権者国民に公開された議場で堂々と議論を交わすことであって、国民の目が届かない密室で「かんかんがくがく」をやることではない。
 「法律をどうするかも秘密」では、国会と国会議員の存在価値はないのである。
 (2) 衆議院で「修正案」は審議されていない
 密室協議で生み出された「修正案」が審議されたのは、強行採決が行われた11月26日の2時間だけだった。しかも、その審議は、直後の採決を予定して安倍首相が出席した「締めくくり総括質疑」だったから、質疑のほとんどは「政治論義」に費やされた。法案の「修正」条項についての、厳密かつ具体的な質疑など皆無に近いのである。
 密室協議に併行して、委員会審議も行われてはいた。「修正」条項についての質問も行われたが、政府の答弁は「修正協議中なので答弁は差し控える」というものだった。「修正」するのは政府ではなく国会議員だから、政府に答弁を強要できるものでもない。
 衆議院で「修正案」は審議されていないに等しいのである。
 しかして、その「修正案」で法案は大きく変容しているから、「修正」によって解釈・運用に大きな差が出ることは避けられない。
 となれば、原案を前提にした政府の答弁が「修正」後にも妥当するかどうか、すべて検証し直さねばならないことになる。行政による運用を拘束し、司法判断にも大きな影響を与える立法趣旨は、立法府=国会において明確にされねばならないからである。
 参議院は、「修正案」をゼロから審議せざるを得ないのである。


第3 秘密保護法案の検討・解明 - 問題点は解明されたか 

1 構造と本質的問題
 (1) 法案の構造と問題点
 秘密保護法案は、
 ① 行政機関の一存で広範な情報を特定秘密に指定して「なにが秘密かも秘密」にし、
 ② 特定秘密の管理を規制して国会や裁判所からも秘匿する一方、外国には提供し、
 ③ 漏えいや「取得」、共謀・教唆・扇動を重罪に処する
という構造をもった法案であり、指定-管理(期間、提供、取扱い、適性評価等)-処罰のそれぞれの段階あるいはそれぞれの平面で、深刻かつ重大な問題をはらんでいる。
 それぞれの条項がはらむ問題や、秘密保護法強行がもたらす事態は、第1意見書「徹底解明 秘密保護法案」や第2意見書「秘密保護法/日本版NSC 山積する問題」で指摘したとおりなので、ここでは繰り返さない。
 意見書が指摘した問題は、まったく解明されていない。
 (2) 軍事法としての秘密保護法
 秘密保護法は、「武力攻撃事態法」を頂点とする有事法制体系に組み込まれる軍事法である。秘密保護法が加わることは、「国民の自主的協力」をうたい文句にしてきた有事法制に、「秘密保護」を口実にした治安立法・弾圧立法が加わることを意味している。また、国家安全保障会議(NSC)設置法と一体となって登場した秘密保護法が、「集団的自衛権」の容認による「集団的自衛事態法」や海外派兵を恒久化する「国際平和協力法」などとともに、国家安全保障基本法体系を構成することになることは、政府自らが言明している。
 秘密保護法の軍事的性格や、有事法制体系との関連、国家安全保障基本法体系との関連は、法案の本質を考えるうえで重要だが、審議はまだまだ踏み込めておらず、10年前の有事法制の審議に比べても、はるかに低レベルなものにとどまっている。その背景に、小選挙区制による「議会と議員の劣化」を見るのは、自由法曹団だけではあるまい。
 (3) 「安全保障と秘密保護」の国際標準
 「安全保障と秘密保護」をめぐっては、「武力による安全保障」を前提にしつつも、人権保障や議会の関与を組み込んだ「ツワネ原則」などの国際標準が生み出されている。だが、衆議院の審議が、こうした国際的な趨勢や国際標準に対応しようとしたことはない。これでは、「大量虐殺をして国家が握りつぶし」てしまう国(11月19日 前田雅英参考人)以下の国だと、自ら名乗っていることにしかならない。
 こんなことで世界各国の信頼を得られると、思っているのだろうか。
 2 未解明の問題、論議されていない問題
 どんな問題が解明されずに残され、どんな問題が議論すらされていないか。
 (1) 目的・立法事実(1条)
 なぜいま秘密保護法……だれでもいだくであろうこの問いに、主権者国民の視点で答えた答弁はない。「秘密法制がないから発生した事態」などはなく、公務員法違反が5件あったが、すべて現行法で措置したのが事実だからである。
 その結果、答弁は「ひとつ覚え」のように「外国との情報共有」が繰り返される。だが、「ほかの国との関係において今の法制度で問題ないという理解でいいか」などの問いに(11月12日 後藤祐一議員など)、「具体的な支障」は提示できていない。
 結局のところ、「情報共有のためには秘密保護法があった方がいい」という抽象的な理由以上に、いかなる理由も説明できていないのである。
 苛立った推進派が、「原発事故で情報がテロリストに」だの、「スパイ防止法があれば拉致事件は防げた」だのの「本音」を吐露し(11月19日 参考人陳述)、「反対を叫ぶのはテロリスト」などと絶叫する(自民党幹事長ブログ)のは、そのためである。
 (2) 行政機関の指定とチェック
 指定や提供は、なぜ内閣や内閣総理大臣の権限ではなく、「行政機関の長」の自己完結的な権限なのか。答弁は「秘密が膨大で、専門性、技術性が必要だから」で、これまた「ひとつ覚え」である。
 「語るに落ちた」とは、このことだろう。
 「膨大で専門性、技術性が必要」という秘密は、内閣総理大臣に管理できないだけでなく、「行政機関の長」にも管理することはできない。「長」の多くは頻繁に交代する大臣であって、軍人でもなければ(軍人だと「文民」規定に抵触 憲法66条2項)、技術者・研究者でもないからである。「専門性、技術性」が要求される特定秘密の指定や提供の実質的な判断権は、その分野に通暁した高級官僚の掌中に握られざるを得ない。
 そして、憲法上の指揮監督権(72条)でも統制できない「秘密の運用」を、秘密保護法が生み出した「第三者機関的立場の内閣総理大臣」(18条4項)で、制御できるはずはないのである。
 これほどまで「官僚専制」に傾斜した法制を生み出して、本当にいいのだろうか。
 (3) 国会と裁判所への提供(10条1項1号イ、ロ)
 極めて限定的な10条1項1号による国会への提供(イ)と捜査機関への提供(ロ)は、さすがに多方面からの批判があびせられた。10条1項本文での提供が任意規定から義務規定に変更され、「国会における保護に関する方策」が国会の自律とされたのは(附則10条)、その批判のわずかばかりの反映だろう。
 だが、提供先が「秘密会」に限定され、「安全保障に著しい支障を及ぼすおそれ」があるときには、「秘密会」にも提供を拒否できることは変わっておらず、国会議員が「秘密会」で知得した特定秘密を漏らせば5年以下の懲役になる点も変わらない(23条2項 旧22条2項)。国会が行政に拝跪する構造は、まったく変わっていないのである。
 刑事訴訟への特定秘密の顕出については、外形立証を前提にした公訴事実の記載や訴訟の遂行が前提としながら、「インカメラで裁判官が見て開示を命令したら、公判廷に証拠が開示される」と答弁が続くようになった(11月11日 井出庸生議員への答弁など)。
 証拠開示手続での「インカメラ」(10条1項1号ロ)で裁判官が開示命令を出したら、確かに裁判官と弁護人には開示されるだろう。だが、検察官が進んで公開法廷に証拠として提出することは認められていないから(提供できるのは「業務に従事する者」のみ)、裁判所の訴訟指揮権に委ねられることになる。
 こうなると、「安全保障と人権保障の舵取り」が裁判官に委ねられ、どちらに転んでも裁判官が責任を取らされることになる。
 開示命令を出す裁判官は、ほとんど「命がけ」だろう。
 (4) 地方自治体や「個別の国会議員」などへの提供(10条1項1号本文)
 10条1項一号本文には、国会(イ)、捜査機関(ロ)以外の「公益上特に必要があると認められるこれらに準ずる業務」も含まれている。
 「裁判官弾劾裁判所」や「検察審査会」などの審査機関を予定したと思われる規定であるが、政府の答弁では、この「準ずる業務」に「地方自治体」(11月21日 赤嶺政賢議員への答弁など)や「個別の国会議員」(11月12日 寺田稔議員への答弁)が含まれることになる。
 地方自治体は隠されていたことになり、地方公務員にも「知得者の漏えい罪」(23条2項 旧22条2項)が適用されることになる。「地方公共団体の職員で、自分たちのことを書いてあるとわかる人は、およそいない」(赤嶺議員)と絶句するのも当然である。
 「提供の必要性」の判断は行政機関の「長」が行うから、「準ずる業務」は「マジックカード」に使えることになる。こんなことが起こらない保障はどこにもない。
 * 基地容認の○○市には提供するが、撤去を求める××市には提供しない。
 * 口の軽いあの□□議員には危なくって提供できない。
 「修正」によって、「準じる業務」を含めた10条1項の提供が義務化され、一種の「格上げ」が行われた。「修正」によって「準じる業務」の範囲が変動するかどうかも含めて、全面的な検討・検証が行われねばならない。
 武力攻撃事態や緊急対処事態での避難にかかわる情報は、「知る者の範囲を制限」(10条1項一号本文)するこの提供では処理できない。だから答弁は、「避難に必要な情報は秘密指定を解除する」となる(11月19日 玉城デニー議員への答弁など)。
 だが、秘密保護法にも国民保護法にもそのことを義務づけた法文はなく、「作戦にかかわる情報」と「避難にかかわる情報」は当然ながら重なり合う。そのとき、「米日統合軍の作戦遂行を危うくしても、住民保護のために秘密指定を解除する」との決断を、だれができるというのだろうか。
 (5) 警察と「適合事業者」への提供(7条、8条)
 警察への提供(7条)と「適合事業者」への提供(8条)の目的、射程範囲、対象、方法などについては、衆議院審議でまったく取り上げられていない。
 地方自治体への提供が隠されていたのに対し、都道府県警察への提供は7条によって正面から認められている。秘密保護法違反などの刑事捜査のための捜査機関への提供は、10条1項1号ロで認められているから、この提供は「全警察機構に対する秘密保持のための提供」と考えるしかない。この提供が、特定秘密の取扱者や接触者などを監視する、公安警察の跋扈跳梁を引き起こす危険は甚大である。
 「適合事業者」とは、「政令で定める基準に適合」する「物件の製造又は役務の提供を業とする者」(5条4項)であって、政令によって「基準」はどのようにでも定められる。その「適合事業者」には、いかなる審査システムも予定されていない。
 一般には、艦船兵器の開発や製造にあたる企業への「性能要目表」や「設計図」等の提供が考えられているが、法文からはそんな限定は読み取れない。武力攻撃事態等で医療・輸送・建築の事業者を徴用動員したときには、徴用した事業者を「適合事業者」にして「防諜」の網をかけるだろう。
 契約にもとづく提供(8条1項)が「性能要目表」や「設計図」に限られる保障もない。
 多国籍展開する「適合事業者」の進出先での情勢変化を、契約している防衛省が察知したら、契約にもとづいて「テロやゲリラの動向についての情報」を提供することもあり得るだろう。「適合事業者」は、防衛省の承諾さえあれば、「準ずる業務」を含む10条1項一号の相手方に、特定秘密を提供できる(10条3項)。
 特定秘密は果てしなく拡散していくことになりかねない。
 国会や裁判所への提出を頑として拒む法案は、警察と企業への提供には、なぜこれほど寛容なのだろうか。
 (6) 適性評価のための調査と「三号評価」(12条)
 適性評価がプライバシー侵害にあたることは各方面から指摘されたが、「評価のための調査」(12条2項、4項)の具体像についての質疑はほとんど行われていない。
 評価対象者への質問だけでは不十分だから、「関係者への質問」「資料の提出要求」「公私の団体への照会」などが規定されている(12条4項)。その「関係者」とはどの範囲なのか、公安警察や情報保全隊などの諜報機関を含むのか、「資料」や「公私の団体」の範囲はどこまでなのか・・なにひとつ明らかになっていない。
 適性評価は、特定秘密を取り扱う業務につくときを最初に、「5年きざみ」で行われることになっているが(12条1項一、二号)、もうひとつ「5年きざみ」にあてはまらない評価がある(12条1項三号)。この「三号評価」は、「引き続き・・おそれがないと認めることについて疑いを生じさせる事情」が発生したときに実施されるが、その「おそれ」を、だれが、どのような資料にもとづいて、判断するかまったく明らかになっていない。「三号評価」は「完全な闇の中」にある。
 (7) 「特定有害活動」と「テロリズム」(12条2項一)
 法案は、適性評価のための調査事項に、「特定有害活動」(いわゆる「スパイ」)や「テロリズム」の定義をはさみ込んだ異様な法文になっている(12条2項一)。この定義がそのまま別表の範囲に直結するから(別表三、四)、定義の意味は決して軽くない。
 衆議院審議でのこの定義についての検証・チェックは、まだまだ十分ではない。
 「テロリズム」とされる行為には、「国家もしくは他人に政治上その他の主義主張を強要すること」が含まれており、「殺傷」や「破壊」と違って「圧力」でも成立する。「大音量という有形の圧力を加えるという点で、(街頭デモは)民主主義と相いれない」との石破茂自民党幹事長の「論理」に立てば(12月2日 朝日デジタル)、「街頭デモもテロリズム」とならざるを得ない。
 「デモに参加したかどうか」は適性評価の対象とされ、「デモについての情報」も特定秘密になり得るのである。
 (8) 処罰規定(22条~25条)
 報道の自由にかかわる22条2項は「違法性阻却事由」というのが答弁だが、「著しく不当な方法」であれば処罰される。「対象者の個人としての人格の尊厳を著しく蹂躙する等法秩序全体の精神に照らして社会通念上是認することができない」があたるとされるが(11月19日 辻本清美議員への答弁)、依然として極めて抽象的。「著しく不当な方法かどうかを調べるには捜査するしかないのではないか」との質問(11月19日 辻本議員)に、明確な否定はない。
 漏えい罪(23条)、「管理を害する行為による取得」罪(24条)の成立に、特定秘密であることについての認識を要するかどうかについて、明確な解釈基準は打ち出されていない。特定秘密かどうかは公表されていないから、確定的故意を必要とすれば「取得罪」はほとんど成立しなくなる。未必の故意で必要十分か、「秘密との認識」で足りるか(特定秘密は処罰条件ないし違法性の意識の問題)は、明確にされていない。
 共謀・教唆・扇動罪(25条)を含め、直接的に捜査権力の発動を引き起こす刑罰規定でありながら、審議はきわめて不十分と言わざるを得ない。本質的に権力による濫用の危険をはらむ治安立法・弾圧立法は、安直に制定されてはならないのである。
 3 治癒不可能な欠陥法
 これまで、秘密保護法「修正案」をめぐる諸問題を検討してきた。
 本項で取り上げた問題は、法案そのものがもともとはらんでいた問題か、「修正」によってますます複雑怪奇になった問題である。
 その多くは、自由法曹団が意見書で指摘し、各方面からも指摘されてきた問題であるが、衆院審議ではまったく解明されず、多くは議論すらされていない。10条1項一号の「準ずる業務」のように、「修正案」によって提供が義務化されたことでますます理解できなくなった論点・問題点も存在する。
 「修正案」は治癒できない欠陥をはらんでおり、およそ法規としての体系性や整合性を持ちえていない。そのことは、法律専門家が読み解くのに困難を感じるほどの、「暗号のような法文回路」を見ても理解できよう。
 自由法曹団が当初から指摘しているとおり、平和や人権を蹂躙し、国のあり方を変容させる秘密保護法案は、生み出されてはならない。ましてや、治癒不可能な欠陥法=秘密保護法が強行成立させられることなど、断じてあってはならないのである。

 おわりに ―― 秘密保護法案は廃案しかない 

もともとできの悪い素材を、小手先でこねくりまわすと、こんな作品ができあがる……秘密保護法「修正案」についての偽らざる実感である。
 こんなものが「法律」とされることは、国権の最高機関たる国会の恥辱であり、この国の知性の恥辱である。「外国との情報共有」を唱える政府は、この醜怪なる法文を、どのように翻訳し、どのようにして国際社会の認知を得ようとするのだろうか。
 比べてみるといい。
 われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免がれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する(憲法前文)。
 長い試練に耐えて磨きあげられてきた法文が、どれだけの品格をもっているか。
 平和憲法とこの法案と、国際社会に投げかけるどちらのメッセージが輝きを放つか。
 平和憲法をもつこの国の恥をさらさないためにも、秘密保護法案は廃案にするしかない。
 それが良識の府・参議院の使命である。

           緊急意見書
        参議院での 秘密保護法案廃案を求める
                   「修正案」は修正の名に値しない
              2013年12月 2日
              編 集  自由法曹団改憲阻止対策本部
                   秘密保護法プロジェクト
              発 行  自由法曹団              
               

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プロフィール

松尾ひとみ

Author:松尾ひとみ
 旧福間町、福津市の議員を3期(11年9ヶ月)務めた日本共産党松尾ひとみです。引退しても言いたいことは、まだまだあります。
 前ブログ(ひとみちゃんにも ちょっと言わせて)に引き続き、よろしくお付き合いください。

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